株式会社山岸製作所

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L'INTERNO

【納入事例】白間(Haku_ma)様

2026.3.11


今回ご紹介するのは、2025年12月にオープンしたばかりの、一棟貸しの禅の宿「白間(Haku_ma)」様です。
金沢駅から徒歩約5分。駅近くの民家が並ぶ静かな路地に入ると、木虫籠を思わせる格子窓と、滝ケ原石の凛とした佇まいが目に留まります。

 

|「無・白・間」が息づく空間

この宿の空間づくりの背景には、金沢市出身の思想家・仏教哲学者、鈴木大拙が世界に広めた禅の思想があります。

「無」「白」「間」

何かを足すのではなく、あえて引くこと。
余白を残し、ものともののあいだに生まれる関係性を大切にすること。

空間は、目に見えるものだけで構成されているわけではありません。
光の入り方、視線の抜け、立ったときの奥行き。

 

写真家である寺田さんは、「ここから撮るとき、ここに何があったら美しいか」を想像しながら空間を設えたといいます。
採光にも細やかに配慮し、時間によって陰影が移ろう設計に。

 


築60年ほどの日本家屋を再生した白間。
一部にはさらに古い建材も転用された痕跡も残っており、建物の時間が層のように重なっています。


1階から2階へとつながる吹き抜けは、この宿の象徴的な余白。
視線が梁へと抜けることで、建築そのものの力強さが現れます。
上下の気配がゆるやかに交わり、空間全体に奥行きをもたらしています。

 

|空間に佇む二つの名作

今回納入させていただいたのは、
・Chaise Tout Bois シェーズトゥボワ(Vitra)
・バタフライスツール(天童木工)

 

● シェーズトゥボワ(Vitra)


シェーズトゥボワは、1941年、戦時下の制約から生まれた椅子。


武器の製造を優先するため、金属が使えない状況の中で、ジャン・プルーヴェが“すべてを木で解決する”ことに挑んだ名作です。
木材のみで構造を成立させたその姿は、装飾ではなく必然から生まれたかたち。
梁や格子といった日本家屋の情緒ある建築に、このフランスの合理性が加わることで、空間は和に寄りすぎることなく、ほどよい均衡を保っています。
自然光が射し込む時間帯には、陰影がいっそう際立ち、建築と家具が呼応します。

 

● バタフライスツール(天童木工)

2階の畳の間には、バタフライスツール


紙を切る、折る、曲げるという手遊びから着想を得たフォルム。
一見、直線的に見えますが、実はディテールはゆるやかな曲線で構成されています。


その曲線が、力強い書のアートと対比を生み、静と動が共存する場をつくっています。
ミニマルでありながら、空間にリズムを与える存在です。

 

|空間を愛する寺田さんがかたちにした宿、「白間」

気持ちのいい空間にいること、そして気持ちのいい空間をつくることが好きだったという寺田さん。
ご自身でも椅子をコレクションされ、スタジオには名作チェアが並び、撮影にも用いられているとのこと。
家具の背景やデザインの意味を知り、その価値を学ぶことの大切さについてお話しいただけることは、私たちにとって大きな励みであり、とても心強いことです。

写真家としての感性、禅の思想、そして家具への深い関心。
それらが重なり合うことで、「白間」という空間は完成しました。


インバウンド需要が年々高まる金沢を背景に、以前から和の空間をつくってみたいと考えていた寺田さんにとって、白間の構想はちょうど良いタイミングで実現しました。

繁華街ではなく駅に近い立地を選んだのも、寺田さんご自身が仕事などで旅を重ねてきた経験から。
金沢は街そのものがコンパクト。
白間を拠点に一歩外へ出れば、まるで街全体が庭のように感じられる。
そんな滞在を楽しんでほしいと語ってくださいました。

白間での滞在は、金沢という街の魅力をより深く、より立体的に感じさせてくれるはず。
金沢を訪れる際はぜひ、白間で心を整える時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

 

● 白間(Haku_ma)

白間公式Webサイト
「白間」公式Instagram
「MARC AND PORTER」公式Instagram

 

〈担当より〉
この度は家具のご依頼をいただき、誠にありがとうございました。
白間様のご建築は、長い年月が重ねてきた美しさを大切にされていて、その空間にいると深い時間を体感している感覚になりました。
今回納めさせていただいた家具をはじめ、建築やインテリアなど、一つひとつの目に見えないストーリーを紡いで設計されていることにも、とても魅力を感じました。
非日常の中で心が安らぎ、思考が自然と巡っていくひとときは、ここならではの体験だと思います。
今後も、寺田さまの創られる空間・家具のお手伝いができたら嬉しく思います。(担当:丹波)